BOIは、電子基板(PCB)産業の推進に積極的に取り組んでいます。2023年(仏暦2566年)初頭から現在に至るまでにPCB産業への大規模な投資がタイに流入しており、総計90件以上、投資総額は1600億バーツを超え、タイはASEAN地域のリーダーの地位に押し上げています。その中で、中国の大手PCBメーカーである「ウェルテック・エレクトロニクス」が、タイでの大型工場の建設を1年足らずで完了し、最初の生産ラインの稼働を開始しました。タイ国内での新たな産業クラスター構築が迅速に進展していることが裏付けられています。
投資委員会(BOI)長官のナリット・テートサティーラサック氏は、アユタヤ県のロジャナ工業団地にあるウェルテック・エレクトロニクス社の電子基板(プリント回路基板:PCB)製造工場を視察した後、次のように述べました。PCBは、あらゆる電子機器の重要な部品であり、PCB製造業への大規模な投資が2023年(仏暦2566年)初頭から継続的にタイに流入しています。ウェルテック・エレクトロニクス社は、中国の先進技術を有するPCBメーカーであるウェルガオ・エレクトロニクスの子会社であり、BOIから投資奨励を受けた新規企業の一つです。同社は、今年6月にタイ国内で初めて新規の生産ラインを設け、操業を開始した企業です。同社は、6万4000平方メートルを超える敷地に工場を建設し、1年足らずで工場の建設と機械の設置を完了しました。
ウェルテック・エレクトロニクス社の工場は、第1フェーズにおいて25億バーツを超える投資が行われ、主な製品は、高密度相互接続(HDI)型の多層プリント回路基板(マルチレイヤーPCB)です。この第1フェーズでは、最大で30層の積層回路を製造することが可能です。また、同社は、隣接する敷地にさらに規模の大きい第2フェーズの工場拡張計画を進めており、生産能力を最大50層のPCB製造まで引き上げる予定です。このマルチレイヤーPCBは、データサーバーや電気自動車(EV)用電源装置(パワーサプライ)、AI技術を搭載した電子製品など、電子部品が多く含まれる複雑な電子機器向けに使用されます。同社は、製品の40%を国内のEVや電子機器の顧客に供給し、60%を海外へ輸出する予定で、使用する原材料のうち50%以上を国内調達する見込みです。
ウェルテックグループがタイを中国以外での最初の主要生産拠点として選び、投資拡大を決定した主な理由は、タイが持つ高いポテンシャルと充実した準備態勢にあります。その背景には、整備されたインフラや強固なサプライチェーン、政府の支援施策、そして高度な技術製造プロセスに対応できる質の高い人材の存在が挙げられます。このPCB製造工場は、AI技術や AGVロボットによる製品運搬システムを用いた最先端のスマートファクトリーです。この第1フェーズでは、500人以上のタイ人を雇用し、その多くがエンジニアや技術者で、管理職の中国人スタッフは10名以下となる予定です。さらに、タイ人研究者40名以上を起用して、製品の研究開発センターを設立し、先端材料開発、マイクロエレクトロニクス、生産システム、環境管理、ソフトウェアおよびAI開発の5分野において技術開発を進めます。また、バンコクやアユタヤにあるタイ国内の4大学と提携し、PCB分野の人材育成を目的とした教育カリキュラムも整備します。
なお、ここ1年余りの期間(2023年(仏暦2566年) - 2024年9月(仏暦2567年))で、PCB産業における投資奨励申請は95件に達し、投資総額は1620億バーツに上っています。この中には、メクテックやKCEといった奨励を受けているメーカーによる投資拡大のほか、世界的なPCBメーカーによる新規投資も含まれています。特に、中国および台湾の企業が多数進出しており、Unimicron, Compeq, WUS, Gold Circuit, Chin Poon, Dynamic Electronics, Apex Circuit, Unitechなどが挙げられます。これらの企業の多くは現在工場を建設中であり、2024年末(仏暦2567年)以降に生産ラインの稼働を順次開始する見込みです。
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