
大手鉄鋼メーカーのGスチールとGJスチールが20年ぶりに総額45億バーツを超える大規模な生産ラインの改修の投資奨励を申請する準備のためBOIとの協議に入りました。タイの鉄鋼生産のポテンシャルを高め、低炭素産業へ前進させるとともにタイをASEAN市場やヨーロッパ市場へ輸出するための鉄鋼生産の中心へと推し進めるものです。
投資委員会(BOI)長官のナリット・テートサティーラサック氏は、日本製鉄が主要な株主であるタイの大手熱延鋼板メーカーのGスチールとGJスチールの幹部とBOIが、20年ぶりに熱延鋼生産ラインの大規模改修のための投資協議に入ったことを明らかにしました。今後3年以内に投資総額45バーツのうち、ラヨーン県のGスチールに30億バーツ、チョンブリー県のGJスチールに15億バーツ、機械の改修による近代化、品質の向上およびプロダクトポートフォリオを多様化します。炭素排出量の少ない鉄鋼生産の技術を活用し、効率的で環境にやさしい生産プロセスにアップグレードします。また、コストを削減し、生産プロセスを合理化するため、リサイクル鉄鋼原料を管理するシステムを開発します。これは、国のカーボンニュートラルと循環経済の目標をサポートするものです。
GスチールとGJスチールの親会社で世界第4位の製鉄メーカーである日本製鉄グループ (NSC)は、60年以上前にタイで最初の生産ラインを設立しました。当初は、鋼管の生産から始まり、その他の製品へと拡大してきました。子会社は30社以上あり、国内で合計8,000人以上の従業員を擁しています。そして、2022年、タイの大手鉄鋼メーカーのGスチールとGJスチールに出資しました。現在、GスチールとGJスチールは、タイの熱間圧延鉄鋼業界のリーダーであり、炭素排出量の少ない電気アーク炉 (Electric Arc Furnace) を備えた熱間圧延鋼コイルを製造する唯一の企業グループです。また、温室効果ガス管理機関からカーボンフットプリント証明書を受けたタイの大手金属スクラップリサイクル業者でもあり、タイのグリーン産業への移行を支援しています。これは、世界市場における炭素排出量の少ない鉄鋼製品の需要の方向性とも一致しています。
タイはASEANの中で一人当たりの鉄鋼消費量が最も多く、一人当たり年間約234キログラムです。現在、タイの鉄鋼製造業には約180社あり、このうち、長形鋼事業者が100社、平鋼事業者が約80社となっています。その大半が建設業向けの鉄鋼生産(60%)、次いで自動車産業・自動車部品(20%)、電気・電子機器(7%)、産業用機械・設備(5%)、包装(5%)、その他(3%)となっています。過剰供給による競争の激化や中国から世界市場への鉄鋼放出の加速により、タイの鉄鋼市場は影響を受けてきました。今回のGスチールとGJスチールの投資拡大の決定は、タイの鉄鋼会社の生産能力や効率性を向上させるものです。また、今後、特にヨーロッパ市場における国際貿易ルールの中核となる炭素排出量の削減のための最新技術の活用も含まれています。
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