
セター・タウィーシン首相を議長とする、タイ国国立電気自動車政策委員会(EV委員会)は、企業が商業用大型トラック及びバスをバッテリー駆動電気自動車(BEV)に切り替えることを促進する恩典及びEV用バッテリー製造業者への現金補助を本日承認した。
「本日承認の施策は、乗用車部門に関し、すでに実施された一連の施策である、いわゆるEV3およびEV3.5を完結させるもので、この度は大型商業車両に注力したものである。」と、タイ国投資委員会(BOI)長官兼EV委員会書記のナリット・タートサティーラサック氏は、バンコクの首相官邸での委員会開催後の記者会見にて述べた。「この施策により電気トラック及びバスの採用が劇的に進み、交通、製造業部門とその裾野産業からの汚染を減少させ、二酸化炭素排出総量ゼロの目標を達成への弾みとなると信じている。」と述べた。
タイ国はアセアン諸国での自動車製造国首位であり、世界の自動車製造及び輸出台数でも、トップ10にランキングされている。EVに関し、タイ国は、東南アジアで需要面だけではなく供給面全体に対しても恩典を用意している最初の国でもあり、「30@30政策」に基づき2030年までにタイ国で製造される自動車の生産台数の最低30%をEVにするという明確な目標を設定している。
電気駆動バス及びトラックの採用促進に関しては、本スキームに該当する企業に対し特別な減税措置がなされ、2025年12月31日までその措置は有効とされる。国産車両購入企業は、車両の実際の購入価格の2倍上限価額無しにて経費に計上できる。輸入車両購入の場合、車両価格の1.5倍と同額の減税となる。
恩典該当の大型電気車両は、空調設備の有無を問わず、商業向けの電気トラック、例えば、コンテナトラック、液体搬送トラック、危険物搬送トラック、特殊トラック、牽引トラック、電気バスなどである。
同会議では、タイ国をEV向けバッテリーとエネルギー貯蔵システム(ESS)製造拠点として推進する計画も承認され、国家の競争力向上基金を通じた財務上の支援を供与し、基準に合致した企業に対して競争力向上法に基づき利用可能なその他の恩典を供与することになっている。
このスキームに基づいた投資振興を満たす企業の要件は以下の通りである。すなわち、
(1) EV製造業者へバッテリーを供給している、業界で主導的かつ、有名なバッテリー製造業者であること。
(2) EV用バッテリーのための蓄電池生産のための明確な計画を有し、ESS用バッテリーの蓄電池生産も可能であること。
(3) バッテリーの蓄電能力は150Wh/kg以上の高出力タイプであること。
(4) バッテリーの寿命は、摂氏20~25℃の性能試験にて放電率70%の通常性能から80%以上まで1000回以上充電が可能であること。
関心のある企業は2027年末までに投資事業提案書を提出するものとする。「サプライチェーンの要であるバッテリー製造への投資促進施策は、我が国のEVエコシステムの持続可能性と強靭さを確実にしてくれるものである。」と、ナリット氏は述べた。
本日承認された施策は、実施前に閣議による最終検討承認を要する。
EV部門アップデート
本会議では、EV乗用車使用を促進する、EV3施策に関する情報のアップデートが報告された。
2024年1月31日時点の統計によると、2022年に本スキームを開始して以来, EVピックアップトラックも含め、14社の電気自動車メーカーや輸入業者がこのスキームに参加し、登録台数78,554台の電気自動車が物品税減税と補助金を享受している。EV3スキームの条件により、上記企業は輸入車両一台につき最低1台タイ国内で製造することになっている。