
タイ投資委員会 (BOI) は今日2022 年の投資奨励申請額が6,646億バーツ (約 200 億米ドル) に達した事を発表。これは主要セクターへの大規模な海外直接投資 (FDI) により、前年の調整値から 39% 増加しエレクトロニクス、電気自動車 (EV) サプライ チェーン、データ センターなどの主要セクターでコロナ禍からの回復が確認された。
これらの数字はプラユット・チャンオチャ首相が議長を務める理事会の後に発表された。そして同理事会は再生可能エネルギーの生産と利用を奨励する計画であるタイに地域本部を設置する多国籍企業の申請を促進するための調整機構も承認された。これにより国家の温室効果ガス排出量の実質ゼロ目標と3つの大規模な投資プロジェクト達成を目指す。
「2022年の申請数の増加はBYD Auto、Foxconn、Amazon Web Servicesなどのグローバルリーダーによる投資が大きく、タイは将来の産業への投資先として、回復力があり投資企業に優しい投資先である自信を示している」そして、「これは同セクターがより多くの新しい投資を引き付けると予想される2023年に向けて良い兆候だ」とBOI長官であるナリット・タートサティーラサック氏は会合後に総督官邸で開催された記者会見で述べた。
2022年の投資額は39%増を公約
国内外の投資企業は合計 2,119 件の投資奨励申請を提出し、合計 6,646 億バーツに相当し前年の調整金額 4,789 億バーツから 39% 増加した。これは1,295 億バーツの電子および電気機器セクターへの投資が牽引した。
合計申請額で 2 番目に大きいセクターは自動車セクターで、1,054億バーツとなった。EV、プラグイン ハイブリッド電気自動車 (PHEV)、ハイブリッド電気自動車 (HEV)およびバッテリーを含むEV サプライ チェーンに対しての投資申請額だけでは約 540 億バーツに達した。
また、データセンターへの投資は425億バーツに達した。
一方FDI プロジェクトは、前年比 36% 増の 4,339 億 7100 万バーツに達し、公約総額の 65% を占めた。
直接投資額は 中国が158 件のプロジェクト数でその総額は 774 億バーツで首位となり、日本は 293 件のプロジェクト数で 508 億バーツ、米国は 33 件のプロジェクト数で 503 億バーツ、台湾は 68 件のプロジェクト数で 452 億バーツ、そしてシンガポールが178件のプロジェクト数で443億バーツと続いた。
チョンブリ県、チャチェンサオ県、ラヨーン県を含むタイの主要な工業地域である東部経済回廊 (EEC) は2021 年比で 84% 増加の3,588 億バーツ相当の投資を誘致し、地域ランキングのトップに立った。
HQの申請を容易にする調整メカ二ズム
地域本部先としてのタイの地位を強化するため、理事会は HQ Biz Portal と呼ばれるワンストップ サービスの設置を承認した。地域本部の設立を検討する企業に対してコンサルテーションおよび円滑化サービスの包括的なリストを提供する予定である。このポータルのリストはオンライン予約システムとそれら業務を管理する 4つの機関であるBOI、歳入局、事業開発局、およびタイ銀行が、中央政府にアクセスできる情報センターとして構成される。BOI は本システムのコーディネーターとして機能する。
「現在の地政学的な緊張と世界経済の見通しから投資企業は安全な投資先を探している。タイは、これを利用して地域本部の設立またはタイに移転する企業を誘致する重要な機会となっている」とナリット氏は記者団に語った。「BOIが必要な全ての情報を一元化し承認、許可プロセスにおいて包括的な相談と促進を提供するワンストップメカニズムをつくる事で投資企業が地域本部設立をするためのライセンスを取得する時間を短縮し、タイが国際ビジネスセンターと地域貿易のゲートウェイとしての地位を強化できる」と述べた
再生可能エネルギー調達奨励プラン
理事会は、持続可能な開発目標 (SDG)やRE100 グローバル イニシアチブを含む持続可能と再生可能エネルギーの目標を達成するため企業の長期的なエネルギーリスクを軽減する事を既存および新規の投資企業のニーズを認識し、サポートする事を原則として承認した。そしてエネルギー省および関連機関に特定の供給源から再生可能エネルギーを提供するユーティリティ・グリーン・タリフ・メカニズムの実施を加速させる為、役割を担当させ、新しいメカニズムによりグローバル投資企業を引き付ける効果的なツールになると期待されている。
プロジェクトの承認
本日理事会は下記の通り、対象セクターに合計158億バーツに相当する 3つの大規模投資プロジェクトを承認した。
- BYD Auto Components (Thailand) Co., Ltd.は純粋な電気自動車とプラグイン ハイブリッド車用のバッテリーを生産する施設に 38 億 9000 万バーツを投資する承認を得た。この施設は国内市場およびに輸出市場にそのサービスを提供する。現地の EV サプライチェーンの発展に貢献するこのプロジェクトは昨年発表、承認された BYD の最初の 179 億バーツの投資に加え年間生産能力 150,000 台の EV 製造工場を建設するものである。
- Thai Tokai Carbon Product Co., Ltd. は炭素原料油をベースにしたタイヤの補強に使用される添加剤であるカーボン ブラックの生産を拡大すべく94 億 9000 万バーツの投資の承認を受けた。
- TPI Polene Power PCLは廃棄物から燃料を生産するプロジェクトに24億バーツを投資する承認を受けた。