タイ投資委員会(BOI)は先週開催された理事会で今後5年間の新しい投資促進戦略の枠組みを承認した。これはビジネス、貿易、ロジスティクスの地域ハブとしての国家の地位を強化するために技術の進歩、グリーンでスマートな産業への移行、人材育成、創造性と革新を促進することにより新しい経済時代への参入に焦点を当てる。
新しい投資促進戦略 (2023-2027) は、1) イノベーション、テクノロジー、創造性、2) 競争力と迅速な適応能力、3) 環境と社会の持続可能性を考慮に入れた包括性、という 3 つのコア コンセプトを中心に国家経済を再構築するための投資を促進する事を目指している。
「挑戦的で不安定で競争の激しい世界環境を考慮してBOIは変化に先んじて具体的な結果を達成する方法で投資を促進し続けタイを新しい経済に導くのに役立つ」とNarit Therdsteerasukdi氏は10月3日にBOI事務局長に就任して以来初の記者会見で記者団に語った。「その目的を達成するためにBOIはその役割を税およびに税以外のメリットを提供する「プロモーター」から拡大し投資支援ツールの「インテグレーター」、サービスを提供する「ファシリテーター」そして業界間を繋ぎより多くのビジネス チャンスを生み出す「コネクター」となる事に焦点を当て行く。」
新しい経済の戦略とビジョンを実行するためにBOIは七本柱を中心にその投資促進政策を明確にして行く。
1) 既存産業のアップグレードとタイの高ポテンシャル新産業の構築、サプライチェーンの総合強化
2) 自動化、デジタル化、脱炭素化への投資を通じたグリーンでスマートな産業への移行の加速
3) ビジネスセンターとしてのタイの促進およびに地域の国際貿易と投資のゲートウエイ
4) 中小企業と新興企業の強化でグローバル市場とサプライ チェーンへの連結の確保
5) タイの各地域のポテンシャルに適合し包摂的な成長を可能にする投資の促進
6) 地域・社会の発展を促進する投資の促進
7) タイ企業のビジネスチャンス拡大のためのタイの海外投資促進
政策とセクター固有のインセンティブ パッケージの詳細は今後数週間のうちに取締役会に提示され発表される予定だとNarit氏は語る。
1月から9月の投資申請
取締役会はまた2022年の最初の9か月間に提出された投資誓約を承認した。
2022年の1月から9月には国内外の投資家はBOIに合計1,247件の投資促進申請を提出。その合計は4,391億バーツ(116 億米ドル)であると Narit 氏は述べた。
2021年の最初の9ヶ月間に見られた1,149 件のプロジェクトと比較して申請数は 8.5%増加したがその合計額は5,110億バーツから14.1%。これはプロジェクトの平均規模が小さい事を反映している。
タイの東部経済回廊 (EEC) 地域では376件のプロジェクトがプロモーションに申請しておりその合計投資額は2,467億バーツに相当し最初の9ヶ月の申請額の56%に相当するとNarit 氏は述べた。そしてその殆どはラヨーン県とチョンブリ県での投資との事だ。
外国直接投資 (FDI) の申請は前年同期比25%減の2,756 億バーツになった 当初9ヶ月間のFDI申請の主なソースは中国の450 億バーツ、続いて台湾 (393 億バーツ)、日本 (376 億バーツ)、米国 (343 億バーツ)、香港 (263 億バーツ) であった。
当初の9ヶ月間の中国、香港、台湾の FDI 申請データには全て新規での電気自動車 (EV) と部品の製造への投資が含まれていた。今年タイで発表された主要なEV投資にはBYD による工場が含まれておりその投資は香港に本拠を置く部門とFoxconn経由で行われている。
9月までの9ヶ月間でBOI は1,101件のプロジェクトにプロモーション証明書を発行した。これは前年同期比17% 増。証明書の合計投資額は 3,576 億バーツに達っする57%増だったとNarit 氏は述べた。
「実際の投資に最も近いデータであるプロモーション証明書の統計は今後1〜2年で実際の投資フローが大幅に増加す事を明確に示している」とNarit氏は述べる。