BOI理事会は、2025年(仏暦2568年)の投資促進に向けた取り組みを強化し、年初に総額1700億バーツを超える投資プロジェクトを承認しました。大規模プロジェクトとして、TikTokおよびSiam AIがタイにデジタル・AIインフラの拠点を構築するため、大規模な投資を実施します。また、持続可能な航空燃料(SAF)の製造事業およびバイオ産業の工業団地の開発も推進される予定です。さらに、2025年の投資促進を加速するため、5つの戦略を推進し、タイを世界有数の産業拠点へと発展させる方針です。
ナリット・タートサティラサック投資委員会(BOI)事務局長は、2025年(仏暦2568年)最初のBOI理事会の会議結果を発表しました。本会議は、ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務大臣を議長として開催され、総額1700億バーツを超える3つの主要プロジェクトの投資奨励が承認されました。今回承認されたプロジェクトには、大規模デジタルインフラ事業2件が含まれています。そのうちの1件は、TikTok Pte. Ltd.グループのデータホスティング事業で、同社は高性能データセンターにサーバーおよび関連設備を設置し、大規模データ処理を行う計画です。このプロジェクトはバンコク、サムットプラーカーン、チャチューンサオの各地で実施され、投資額は1267億9000万バーツにのぼります。もう1件は、Siam AI Corporation社によるAIクラウドサービス事業で、同社はタイ初のNVIDIA Cloud Partner(NCP)に選ばれ、AIクラウドサービスを提供するデータセンターを設立します。施設はチョンブリー県とパトゥムターニー県に設置され、投資額は32億5000万バーツとなります。さらに、カリウム塩化物生産プロジェクトも承認されました。Asia Pacific Potash Corporation社が手掛けるこのプロジェクトは、肥料の主要原料となるカリウム塩化物を生産するもので、ウドンターニー県に建設される予定です。投資額は404億バーツとなります。BOIは、これらのプロジェクトがタイのデジタルインフラおよび産業基盤の強化に寄与すると期待しています。
「2024年(仏暦2567年)、タイはデジタル産業への大規模な投資を受けました。特に、データセンターやクラウドサービスといった重要なインフラ分野に対する投資が目立ち、米国、中国、香港、日本、インド、オーストラリア、タイの大手企業による合計16件のプロジェクトが実施されました。総投資額は2400億バーツを超え、デジタル産業は、タイで最も投資額の多い分野となりました。本年も、タイおよびASEAN地域全体でデジタル技術の需要が急速に高まっていることを背景に、世界的な大手企業がタイへの投資を継続することが見込まれます。特に、AI産業の急成長、ビッグデータの蓄積・処理ニーズの増大が、デジタルインフラへのさらなる投資を後押しすると考えられます。今回承認された2件の投資プロジェクトは、タイをASEAN地域のデジタルハブへと発展させる重要な一歩となるでしょう。」とナリット事務局長は述べました。
農業の潜在力を引き出し、バイオ産業への投資を促進
また、タイをバイオ経済の中心地として発展させ、国内の農産原料に付加価値を創出する投資を促進するため、BOI理事会は以下の方針を承認しました。
1.「持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel:SAF)の製造事業」を投資奨励の対象とします。この事業では、農産物、農業副産物、残渣を原料として航空燃料を製造することで、現在の航空燃料と比較して二酸化炭素排出量を最大80%削減できます。これは、今後の国際航空業界の新たな基準となる見込みであり、法人税免除8年間の優遇措置が適用されます。また、SAFを従来のジェット燃料(JET Fuel)と混合し、航空機エンジンの改造なしで使用可能にする「混合型持続可能な航空燃料の製造事業」も投資奨励の対象とし、法人税免除3年間の優遇措置を付与します。
2.さらに、農業および食品産業の工業団地または奨励対象地区を「バイオ産業の工業団地または奨励対象地区」へと拡大し、従来の農業・食品産業の支援対象を広げ、バイオ産業全般(農業、食品、再生可能エネルギー、支援サービス)を包括的に支援します。これはBCG(バイオ・サーキュラー・グリーン)産業戦略に沿った取り組みであり、法人税免除5年間の恩典が付与されます。これらの施策により、タイの農業資源を最大限に活用し、持続可能な産業発展と国際競争力の向上を目指します。
2025年(仏暦2568年)の投資奨励戦略を加速、5つの重点分野のハブ化を推進
BOI理事会は、2025年(仏暦2568年)の投資奨励戦略の推進計画を承認し、タイを地域の主要な投資拠点として発展させるため、特に競争力の高い5つの分野で中心的な役割を果たすことを目指す方針を打ち出しました。対象となる5つの分野は、BCG産業のハブ(Bio-Circular-Green Industries Hub)、技術革新のハブ(Tech Hub)(自動車、電子機器、デジタル分野などを含む)、高度人材のハブ(Talent Hub)、ロジスティクスおよび国際ビジネスのハブ(Logistics & International Business Hub)、ソフトパワー・クリエイティブ産業のハブ(Soft Power and Creative Hub)となっています。
ナリット氏は、地政学的リスクの高まりや気候変動危機の深刻化といった世界情勢の変化は、タイにとって投資拠点の確保におけるチャンスであると同時に、課題も伴うと指摘しました。このような状況を踏まえ、BOIは、2025年(仏暦2568年)の投資奨励戦略を推進し、タイを世界の主要産業の生産拠点へと転換させ、今後さらに活発化する国際的な資本移動に対応できるよう準備を進めています。その一環として、5つの重点分野での取り組みを進める計画です。
1) 競争力の強化と重点産業への投資誘致
BOIは、5つの戦略産業を重点的に投資誘致の対象としています。これらの産業には、BCG産業、電気自動車(xEV)、半導体・高度電子産業、デジタル産業、国際ビジネスセンター(IBC)1が含まれます。また、投資誘致を強化するため、電気自動車政策委員会、半導体委員会、ソフトパワー戦略委員会などの国家レベルの委員会を通じて、各政策を統合し、各イベントを開催して総合的に推進します。さらに、BOIの海外拠点を拡充し、新たに中国・成都市およびシンガポールに2つの海外事務所を開設する計画です。
2) タイ企業の競争力を強化し、グローバルサプライチェーンとの連携を推進
タイ企業、特に中小企業(SME)の競争力を強化することで、グローバルサプライチェーンと連携することを目指しています。特に、電気自動車産業や電子回路基板分野といった新産業への参入機会を拡大する方針です。また、企業の生産効率向上を促進し、国内部品の使用を奨励する施策を強化するとともに、産業間の連携を深める取り組みを進めていきます。
3)高度人材の育成を推進
BOIは、特に、半導体、電子回路基板(PCB)、デジタル、AI分野といった重点産業向けの人材を育成するため、タイ高等教育・科学・研究・イノベーション省(MHESI)や民間企業といった関係機関と連携し、明確なロードマップの作成や具体的な支援策を進めます。さらに、高度人材の誘致にも注力し、LTRビザやスマートビザの施策の活用やビザおよび就労許可のワンストップサービスの拡充を通じて、海外の高度人材を積極的に呼び込みます。
4) 投資インフラおよび投資エコシステムの高度化を推進
投資を支えるために、物理的およびデジタルの両面で重要なインフラ開発への投資を促進することで、投資インフラおよび投資エコシステムの高度化を推進します。また、産業の拡大に対応できる用地の確保・整備を進めるため、関係機関と連携し、適切な投資環境の整備を図ります。さらに、投資の障害となる規制の改善に向けて関係機関と調整を行うとともに、グローバル・ミニマム・タックス(Global Minimum Tax)の影響を軽減するための対策を財務省と共に検討・実施します。
5) グリーン経済の発展と持続可能な産業の推進
環境に配慮した投資を積極的に推進し、持続可能な産業の発展を促進します。例えば、再生可能エネルギーを活用した発電、リサイクル、環境負荷の少ない製品の製造などを奨励し、エネルギー消費の削減や代替エネルギーの利用、温室効果ガスの排出削減を目的とした機械設備の改修・転換を促進します。また、エネルギー省およびエネルギー規制委員会と連携し、重点産業向けのクリーンエネルギー調達の仕組みを構築します。これには、ユーティリティ・グリーン・タリフ(UGT)の導入や、直接電力購入契約(Direct PPA)の仕組みを活用した電力供給の枠組みが含まれます。